「窮すれば通ず」という、故事ことわざがあります。
物事に行き詰まって、どうにもならない事態になると、
かえってそこから活路が開けてくるという意味です。
私たちにとって、これは希望の言葉になりますね。
あなたも、何かに行き詰まった後、
突如として活路が開けた経験をされたことは
あるのではないでしょうか。
かくいう私もそうです。
「窮すれば通ず」ということを、身を持って経験しています。
振り返ってみれば、どうにかなるものです。
とはいえ、行き詰まっている最中にある時には、
悠然と構えてなどいられないでしょう。
その場その場で、あーでもない、こーでもないと、
右往左往してしまうのが、普通の姿ではないかと思います。
「さて困った。どうしよう…?」と思い悩んでいる時には、
過去の偉人たちがどのように考えて、
問題を乗り切ったのかを学んでみるのも良いでしょう。
★ウォルト・ディズニーの逆転の発想
何事も「心の持ちよう」だと思うのです。
これは慰めで言っているのではありません。
物事は、すべて原因結果の法則の中で起きており、
そもそもの原因は、「心」から始まっているからです。
1940年、ウォルト・ディズニーの会社は、
千人の従業員を抱える会社に成長していましたが、
大きな問題が持ち上がっていました。
銀行に450万ドルもの莫大な借金があったのです。
ウォルトが品質にこだわり、さらに世界大戦の影響もあり、
当時のディズニーの経営は悪化していました。
ウォルトの兄は、会社の財務を担当していましたが、
窮地に陥っている経営状況を、弟のウォルトに告げました。
その時、ウォルトは兄にこう返しました
昔、僕らがたった千ドルも借りられなかったことを、
覚えているかい?
それが今では450万ドルの借金か。
すごいじゃないか。
しかも、明るく笑って答えたらしいのです。
これを聞いた兄は、最初は怒りましたが、
結局は、一緒になって笑い出してしまったそうです。
ここで私たちが学べることは「逆転の発想」です。
450万ドルの借金と聞いて、
「もうお終いだ!」と悲観的に反応する人もいれば、
「そんなに借金ができる身分になってすごい!」と、
ウォルトのように考える人もいます。
心の持ちようといえば、それまでですが、
この違いには、天と地ほどの開きがあるのではないでしょうか。
マイナスの出来事を、そのままマイナスに受け取ることは、
誰にでもできることです。
そして、現実もそのように悪化していくでしょう。
しかし、マイナスの出来事を、プラスに転じて考えられる人は、
運命を変えられる人です。
現実は、その人が願うように変わっていきます。
やるだけのことはやって、後のことは心の中で、
そっと心配しておれば良いではないか。
どうせなるようにしかならないよ。
これは勝海舟(1823~1899年)の言葉です。
明日には斬られて死ぬかもしれないという、
幕末の動乱を生き通した人の凄みを感じる言葉ですね。
プラスに転じるということは、
呑気に構えていれば良いということではありません。
やれるだけのことは、人事を尽くす必要があります。
そして最後には、勝海舟が言うように、
「どうせなるようにしかならないよ」と、
黙って天命を待つような心境も大切だと思います。
やることもやらずに騒ぎ立てて、
悪い結果ばかりを恐れていても仕方がありません。
窮地に陥っている時には、
往々にして視野が狭くなっているものです。
冷静に問題を見つめてみて、
「今の見方や考え方を、変えることはできないか?」と、
自問してみましょう。
今はマイナスと見えるものの中に、
きらりと光る何かを発見できるかもしれません。
光の当て方を変えれば、
今までとは違う見え方がするものです。
私たちは、環境が変われば、自分も変わると考えがちです。
しかし、違うのです。
先に自分の心が変わってから、環境が変わっていくのです。
そのように前向きに考えて、
ピンチには「逆転の発想」で立ち向かっていきましょう!